読書感想文

ネタバレを含みます。

『進撃の巨人』

好きなキャラはベルトルトです。理由は、顔です。

 

アニメ全94話、面白すぎて一気見しました。

普段はあまり長いアニメを見る方ではなく、中だるみしたり展開がグダったりみたいな冗長さを感じると切ってしまうんですけど、この作品はそうはなりませんでした。

 

有名な作品ですのであらすじ等は割愛。公開から年月も経っているので、ネタバレも配慮なしでいきます。どのキャラが死ぬとか書いちゃってます。

 

以下、感想というよりはNL萌えに狂っているオタクの独り言です。

 

 

 

私は、暴力や精神的追い詰めといったリョナ描写が大好きで、特に愛し合う男女が引き裂かれるのが大好物です。

それも、理不尽な事故等ではなく、幸福への道を一つ一つ丁寧に潰して、破滅への道のみを舗装し、彼ら自身にその道を選ばせるようなバッドエンドが大好きなのですが、この「進撃の巨人」という作品に出てくるカップリングがみんなその結末をたどらされていて笑いました。諌山先生、どんだけリア充嫌いなんだ。

 

リア充爆発しろ、を地で行きながら、安易に爆発はさせない。愛を描くなら徹底的に、このキャラにとって愛とは何かを丁寧に丁寧に描いてからぶっ潰す。

調査兵団もそう。兵士たちが戦い、砕け散り、その遺志を受け継いできた血と涙の歴史を丁寧に描いて見せてからのあの惨劇です。

 

この人が神を務める世界なのだから、リヴァイやエルヴィンのようなキャラが生まれるし、愛されたかったという理由だけで2000年も人類を呪い続けた黒幕が出てきても不思議ではありませんでした。

この人が生んだ主人公は、世界一つ滅ぼしかけないと愛する人への素直な気持ち一つ言えなかったんですから、とんでもない奥手ですよね。

 

愛する人以外全員死ねばいいのに、というのはヤンデレならみんな考えますが、普通は実行しません。でもエレンは実行した。これが純愛じゃなかったらこの世に純愛は存在しませんが、そこまでやってもまだ本人に好きだと言ってないのはちょっと奥手が過ぎますね。途中、ライクリやベルアニに浮気しかけましたが、視聴を終えたらすっかりエレミカ派になっていました。

 

好きなシーンはハンジが戦死するところです。

 

長かったですが、本当におもしろかった。見て良かったと思ったし、今後好きなアニメを聞かれた時にタイトルをあげる作品になったと思います。

 

 

『No Man's Sky』


70億光年の孤独。
『No Man's Sky』メインストーリーをクリアしたのでレビューします。

物語は、主人公が見ず知らずの星に投げ出されるところから始まります。ろくな説明もないまま、壊れた船を修理して広い広い宇宙の旅へと出ることになります。

このゲーム、オンラインゲームなのですが、マップ面積はなんと〈317垓平方メートル〉!!

これがどれだけ広いのか、攻略wikiから引用します。

No Man's Skyの世界は、こんな構造になっている。

同様の宇宙が、各プレイヤーの各プレイデータごとにある。
いち宇宙の中に、255個の銀河がある。
いち銀河の中に、1個のコアと、約40億個の領域がある。
いち領域の中に、数百個の星系がある。


この、データに存在するすべての星系、そこに存在する惑星に着陸することが出来、隅々まで探索することができます。
この惑星一つ一つがまたとんでもない広さなんですから(基本的に全探索は不可能なレベル)、比喩でなく宇宙規模の広さの探索領域が、このゲームにはあります。

もちろんそんな広さの世界で他プレイヤーと出会えるわけもなく、タイトル通り誰もいない宇宙で孤独な旅をするのがこのゲームの醍醐味です。





不気味で、自由で、孤独で。どこまでも広い宇宙で一人ぼっちの旅をするゲーム『No Man's Sky』
是非プレイしてみてね!

『ミスト』

胸糞名作として名高い本作。

画家として生活している主人公デイビッドはある日息子を連れてスーパーに出かけると、外に謎の霧が立ち込めてくる。そこへ店内に駆け込んでくる血を流した男性。どうやら霧の中に怪物がいるらしい……。

ある者は外の空調設備を直しに。ある者は外に助けを呼びに。ある者は車内の武器を取りに。次々とスーパーから人が出ていっては死んでいく。店内ではカルトおばさんがカルトな演説で生き残りを先導し始め、自分に従わないデイビッドの息子をモンスターへの生贄に捧げるとか言い出す始末。もう大パニック。

多数の犠牲を出しながらなんとかスーパーから脱出したデイビッド、そして息子ビリーの運命は……




モンスターが現れて人を次々食べていく、という映画は数あれど、ここまで胸糞が悪くなる映画があるんですね……。

高ストレスな状況に置かれた人間が狂っていく過程の描写が非常に丁寧で、安全圏から観てる私はそれが狂気だとわかるけど彼らは至って大マジメなのだというのが理解できました。


怖かったのが、籠城派だった主人公が外に出たがりだしたところ。

泣いて嫌がる息子を置いて薬局に行くと言い出したとき、ああ、この人はもう正常な判断ができないのだと……戦慄しました。

大やけどを負って死にかけている人間に薬をつけて何になりますか。延命にもなりませんし、無駄な死人を出すだけなのは彼らより前にスーパーから出ていった人たちの末路を見ていれば火を見るより明らかです。

それからは彼らが助かる未来が見えなくて観てて辛かったですね……する判断すべてが破滅に向かっているので……。

終盤は皮肉な展開のオンパレードで、「もうやめて!デイビッドのHPはもうゼロよ!」って感じでした。


私としては、誰が正しいとか無かったんじゃないかなぁと……。
全員、自分の信念の中で最善の行動をとろうとしていたと思います。自分だけじゃなく、自分の大切な人も救うためにと、あの場にいた全員その気持ちだけは確かだったはずです。

生き残ったからその判断が正しかった、死んだから間違ってた、なんてのはナンセンスです。現実ではやってみなければわからないのです。

もし私は現実に人食いモンスターが現れたら絶対に外に出ないようにしようと思います。

『いびつ』

こちらは原作ではなく実写映画の方の感想となっています。

アマプラで無料(2020/12/11現在)なので、気になったら是非見てみてね。あ、見る時は必ずイヤホンをしてね。

 

 

 

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あらすじ(Amazonより)

 

気弱なフリーター柿口啓吾は、ある日電車で女子高生の森高円に痴漢だと間違われる。円に捕まった啓吾は駅のトイレまで連れて行かれ、無理矢理無様な格好をさせられ、写メを撮られてしまう。

 

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↑を読んでゾクッときたので見てみました。

正直、アダルトなテーマであることを抜きにしても映画としてウケるのかなという疑問はあります。柿口啓吾も森高円も円満な家庭で育っておらず、人格形成に難がある人物なのですが、結局最後まで彼らは変化も成長もしません。ただただ二人のやりとりを映像にして見せられるだけなので、人によっては「何を見せられているかわからない」といった印象を抱き兼ねないなと思いました。

ですが、それですら好意的に受け入れてしまうくらい私はこの作品が大好きでした。

 

では、その理由を書いていきます。

 

主人公である柿口啓吾はかなりのマゾヒストなのですが、この作品、マゾの描き方がめちゃくちゃリアルなんです。作者の「こんな娘にこんなふうにいじめられたい」(もしくはこんな風にいじめたい、かも…?)って妄想をそのまま見せられてる感じでした。

 

この主人公、感覚おかしいんですよ。円にバイブをしゃぶらされ、それを写真に撮られ、拡大コピーを自宅の前に貼られ、家にまで押し掛けられ、居候され、顔や声について「気持ち悪い」「生理的に受け付けない」「最低」と事あるごとに罵られるのに、登校の準備をしている彼女の背中に「気をつけてな、雨降るらしいから傘持っていけよ」って声かけるんです。これ、主人公の異常性を描くための演出じゃないんです。ただのワンシーンなんですよ。

最初、この二人は成長せずドラマも起きないと書きましたが、当然です。この映画はキモ男矯正ストーリーでも、サイコホラーでもないんです。純愛なんですよ。だから二人がキスして終わるんだなあ!!

私キスシーンって苦手で、始まると大抵とうえぇ…って顔になるんですけど、この映画のキスシーンは思わず巻き戻して二回観ました。思い出してもときめきます。本当に良かったです。

 

 

あらすじで気になった人は是非見てみてくださいね。

※間違っても親の前では見ないほうがいいです。18禁用語と男の喘ぎ声がしょっちゅう飛び交うのでイヤホンもしてね。

※女性優位は絶対に逆転しないので安心してください。

『ゆめにっき』

ツイッターの相互さんが、ゆめにっき派生ゲーム「YUMENIKKI DreamDiary」の実況をしていたので、その原作「ゆめにっき」の感想を書きます。


ゆめにっきとは、ききやまさんがグラフィックから音楽まですべてを手がけたフリーゲームです。
PCがあれば誰でも遊ぶことができます。

しかしそのボリュームは無料とは思えないほど膨大。
プレイヤーは窓付きという少女を操作して、彼女の夢の中に入り、広大で複雑な夢の世界を探索していきます。 



ジャンルはホラーに分類されているのを見かけます。
確かに追いかけっこ要素やスプラッタ描写はあるのですが、とにかくマップが広大ですので、そういった場面はほんの一部ですし、最悪避けてしまっても散策ゲームとして十分プレイできます。





このゲームの革新的なところは、目的がないところです。


最近ですと「どうぶつの森」が話題で、こちらも終わりがなくどう遊ぶかはプレイヤー次第なゲームですが、それでも「借金完済」や「収集要素のコンプ」などそれとなく提示される目標はありますし、達成度に応じてそれなりの対価がもらえます。

いくら目的がないといえど、製作者の「こう遊んでほしい」という意図をプレイヤーがそれとなく読み取れるわけです。




しかしゆめにっきは全く違います。

作者がこの膨大なボリュームのゲームを通してプレイヤーに何を伝えたいのか、全くわからないのです。

ホラーゲームや精神崩壊ゲーと名高いゆめにっきですが、プレイしていても、怖がらせよう、鬱にしてやろうといった意図は感じられません。ききやま氏が一番面白いと思うゲームを作るとこうなるのだ、それがたまたまホラーに分類されただけなのだ、と感じます。私はこのゲームのそういうところがとても好きです。

このゲームは攻略や実況を見ずにやるのが一番面白いと思うので、未プレイの方はぜひ初見で、この不気味で孤独で広い世界を散策してみてください。




ききやま氏ホームページ(ゲームのダウンロードのリンクもこちらにあります)
http://www3.nns.ne.jp/~tk-mto/kikiyamaHP.html



またこのゲームを遊ぶにはRPGツクール2003版のインストール(無料)が必要になりますので、その手順はこちらを参考にしてください。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%86%E3%82%81%E3%81%AB%E3%81%A3%E3%81%8D

【2023/01/12追記】

現在はスチームからRPGツクールのインストール不要で遊べます。
Yume Nikki on Steam
ブラウザ版もあるみたいなので気軽に遊んでみて下さい。

【追記終わり】








ここからネタバレを含みます。









このゲームでは、「ほうちょう」というアイテムが手に入ります。

かなり暗いマップにあるアイテムで見つけるのが困難なので、初見の場合、入手したのはかなりプレイしたあとだった、ということもあるかもしれません。


このアイテムを入手した途端、このゲームの遊び方は180度変わります。



ゆめにっき世界のモブは、基本的に会話してくれません。
話しかけても無視や、無意味な機械音が流れるだけ。反応があるだけマシで、意思の疎通ができるキャラはいません。

これまでそんな世界をただ一人で歩いてきたプレイヤーが、包丁を手にしたら、どうすると思いますか?






刺してみたくなるんじゃないですか?





何をしても、どうせこれは自分の夢なのだから。







このアイテムを手にした途端、おそらくほぼすべてのプレイヤーは、生き物の形をしたオブジェクトに次々と襲い掛かっていくことになります。

決して殺したいわけではなく。

反応が欲しくて。
変化が欲しくて。
ただ歩き回ることしかできない、喜びも悲しみもなく、誰に話しかけても何も返って来ない世界が変わるんじゃないかと。
自分がここにいることに周りが気づいてくれるんじゃないかと。


しかし、可愛い女の子を刺しても、無抵抗な生き物を刺しても、悲鳴を上げて消えるだけ。

周囲のモブは相変わらず窓付きを無視。

生き物を刺すなんて悪いことをしたのに、怒られも、捕まりもなじられも罵られもしないまま、再び薄暗い部屋で夢を見るだけの日常に戻ってしまうのです。

これを絶望と言わずに何と言うのでしょうか。

包丁を手にした数多のプレイヤーが、どんなに希望を抱いて最初のモブを刺したことか…そしてそれがただ消えただけだったとき、どれだけの罪悪感と虚無感を抱いたことか…

この「殺すこと」に対する虚しさは、他のゲームではまず味わえないと思います。


数多くのファンがいる人気のゲームですので、未プレイの方はぜひやってみてくださいね!

『さめない街の喫茶店』

はしゃ先生著、全2巻のグルメ漫画です。



ずっとweb上で追っかけていた作品でしたが、先日ついに単行本をゲットしたので、今回はこちらの感想を書いていきます。





物語は、主人公・スズメが夢を見始めるところから始まります。
夢の舞台はルテティアという架空の街。異国情緒漂うこの街で、スズメはキャトルという喫茶店に住み込みで働くことになります。


なぜ覚めなくなったのか。
なぜここにいるのか。


そんな不安など消し飛んでしまうほど、住民はみな朗らかで、おいしいものもたくさんあって、彼女はその居心地の良さに一日でも長くこの夢が続くように祈りながら、今日もお菓子を作ります。








(以下感想。ネタバレを含みます。)











物語を読み進めていくにつれ、スズメがルテティアに来るのは何か悲しいことがあったときだ、ということがわかります。

悲しみが癒えれば帰れるはずだ、と住民が教えてくれますが、1日2日で帰れないとなると、よほど大きな悲しみが現実の彼女を襲ったのでしょう。

一体何があったんだろう…とドキドキしながらページをめくりました。

スズメが覚めたら私達もルテティアとお別れなのだと思うと切なくて、美味しいご飯をみんなで食べるその時間がとてつもなくかけがえないのないものに見えて、2巻ははじめから最後まで泣きっぱなしでした。

いろんな食材をまるで魔法みたいにおいしい料理に変えてくれるスズメちゃんにバブみを感じました。私もスズメちゃんのごはん食べたい…。出てくる料理がどれも美味しそうで、読んでいると思わずお腹が空いてくる漫画でした。実際にいくつか作ってみましたがめちゃくちゃ美味しかったです…。

美味しいご飯を目の前にしたときのみんなの顔とか、それぞれのキャラがご飯のことを考えてるときの嬉しそうな顔とか、好きなポイントを上げればキリがないです。

現実でも、大切な人と一緒にご飯を食べられる機会は有限です。その一回一回を大切にしたいなと思える、「食事」の魅力が存分に詰まったお話だったと思いました。


おわり

『空が灰色だから』

空が灰色だから」とは、阿部共実先生著の短編漫画集です。

その中から特に気に入った「お兄ちゃんが」という話の感想を書きます。



母親にお使いを頼まれた16歳の女の子・フブキ。目的地は陽子おばさんの家。ところが、フブキには何やら行きたくない事情がある様子。どうやら、そこの息子さんの直樹くんと昔何かあったようで………。








(以下ネタバレを含みます)









無事お使いを済ませたフブキは帰り道でばったり直樹と再会します。

ところが直樹の様子はどこか変。昔の姿と違い、黒かったはずの髪は白くなり、かけていたはずのメガネはかけておらず、冗談など飛ばさない真面目で面倒見のいいお兄ちゃんだったはずが、宇宙人がどうの、隕石がどうのと訳の分からないことばかり口走る、いわゆる「電波系」な青年になっていました。直樹曰く、「頭にメテオがぶつかった影響で目覚めた」とのこと。
「秘密基地に行こう」と言い出した直樹に手を引かれるまま、フブキは人気のない廃墟に連れ込まれます。彼女の記憶によれば、昔直樹と一緒に秘密基地を作ったことはあっても、こんなところで遊んだ覚えはありません。

「お前いくつだっけ」「16だけど…」「そうか。あ、ところでよ、お前っていくつだっけ」
正常な人間とはかけ離れた彼の問答に恐怖を感じたフブキは、彼が直樹を名乗る不審者なのではないかと思い至り、逃げ出します。しかし男は追いかけて来ます。慌てて逃げたフブキが段差に足を取られて転びそうになった瞬間、男は身を呈してフブキをかばい、彼女の下敷きになりました。
その時、彼女はふと、昔にも同じことがあったのを思い出しました。

彼女が高いところに登って遊んでいたとき、足を滑らせて落ちそうになったところを、そばにいた直樹がかばって下敷きになったのです。その事故で直樹は頭に大怪我を負ってしまいました。
それ以来、彼女は彼への申し訳なさで会えずにいたのです。

目の前の不審な男が直樹であると確信したフブキでしたが、「お兄ちゃん、ごめんね…!」と泣きすがる彼女に直樹が返した言葉は、「お前、いくつだっけ。アルプス一万尺する?」

フブキは、顔を覆って泣きました。





(以下感想)


文章ではわかりにくいですが、実際に読むと直樹の狂いっぷりがよく分かります。片目が外斜視になってしまっているデザインや、以前は端正な顔立ちをしていたのだろうと思わせる顔面の崩れ具合はむしろ魅力を感じるほどで、ぜひ実際に作品を見ていただきたいです。


フブキを守って脳に障害を負い、頭がおかしくなってしまった直樹。それでもあれして遊ぼう、これして遊ぼうとフブキを妹のように可愛がり、転びそうになれば本能的に守る理性が彼の脳には残っていると思うと、その兄属性っぷりに萌えずにはいられません。

あまりの豹変っぷりに、これは別人で、昔のままの直樹がどこかにいるのではと思いたくても、転んだフブキをとっさにかばうシーンで、彼は紛れもなく昔身を呈してフブキを守った直樹だと信じるほかなくなる展開は、秀逸としか言いようがありません。

声も無く泣くフブキの姿から、彼の人生を狂わせてしまった彼女の絶望がひしひしと伝わってくるようです。自分のせいで大好きだったお兄ちゃんが壊れてしまったと、この先ずっと自分を責めながら生きていくのだろう…



かく言う私も、過去に友人の頭に怪我を負わせてしまったことがあります。
私が小学二年生で、友人がその一つ下だったと思います。家の周りで走り回っていたら、その子が転んでコンクリートの角に頭を打ったのです。見たこともないような大量の血を流して泣く友人。その子はすぐさま病院に運ばれ、手当を受け、幸い特になんの後遺症もなく完治しました。

当時の私は、治ってよかった〜、程度にしか考えていませんでしたが、もしあの怪我がもとで彼女に取り返しのつかない後遺症が残っていたら……フブキは私だったかもしれません。



阿部共実先生の作品は、そういった読者のコンプレックスや、過去にしたけど忘れていた悪事、思い出したくない出来事なんかを容赦なく抉ってきます。どんなに元気なときに読んでも一発で気が沈むので、いつも読むときは気合を入れます。


今回感想を書いたのはこの話だけでしたが、「空が灰色だから」は他にも痛烈に心を抉ってくるお話が満載なので、気になった方はぜひ読んでみてください。


ありがとうございました。